社長ご挨拶

ご挨拶

 私どもは、大正十年から、およそ100年にわたり、創業者・與助の「材料と品質を絶対に下げるな」との信念を受け継ぎ、どうすればより美味しい和菓子を作れるのかと味の深掘りに情熱を注いできました。

 戦後、砂糖の代替品を使った同業者が次々と再開していく中でも、まっとうな砂糖を使った和菓子作りを求めて数年にわたり再開を見送った時期もありました。
ぬれどら焼きのカワは、食べ口の良さを追求し、材料の比率、合わせ方、焼き方など何度も何度も調整と挑戦を重ね現在の形になりました。しっとりとした薄皮は焼くのが難しく、職人を育てるのに苦戦したり、手焼きのため量産ができないなど困難もありますが、今日も1枚1枚、職人が手焼きしています。

 一方で、梅月堂らしい自由な感性をちりばめた新しい和菓子を開発することへも情熱を注いでまいりました。さくパリっとした食感のせんべいに山椒の葉のアクセントの利いた「湯の元せんべい」や、ラム酒の香りがじゅわりと口いっぱいに広がる「ラムドラ」などは、梅月堂こだわりの逸品です。

 創業の大正年間は、大正デモクラシーや大正浪漫に現れるように、自由と開放・躍動の気分があふれ、また和と洋、伝統と近代化が織り交ざっていくような時代でもありました。
梅月堂の先祖代々のまじめさと発明の文化には、創業当時の時代の気分が脈々と受け継がれているのです。

 自由に、リラックスしたいい時を過ごしたいと感じたとき、梅月堂の和菓子を思い浮かべていただきたい、そして、「また明日から頑張ろう」とポジティブになっていただきたい。
それが私どものビジョンであり、それを叶えられることが、無上の喜びです。

 創業よりおよそ100 年、私で四代目となりました。長きにわたり自由な和菓子作りを任せていただいていることに感謝の念を忘れず、守るべきは守り、常に新たなチャレンジを続ける、そういう和菓子専門店であり続けたいと思います。

梅月堂 四代目 石原 良

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